| 身体拘束をせずにケアを行うためには、身体拘束を行わざるを得なくなる原因を特定し、その原因を除去するためにケアを見直すことが求められる。そのための原則と、「介護保険指定基準」で禁止されている身体拘束の具体的な行為ごとに、配慮すべきポイントを紹介する。 こうした取り組みによって、介護保険施設等のケア全体の向上や生活環境の改善が図られていくことが期待される。 |
身体拘束をやむを得ず行う理由として、次のような状況を防止するために「必要」と言われることがある。
しかし、それらの状況には必ずその人なりの理由や原因があり、ケアする側の関わり方や環境に問題があることも少なくない。したがって、その人なりの理由や原因を徹底的に探り、除去するケアが必要であり、そうすれば身体拘束を行う必要もなくなるのである。
そのためには、まず、基本的なケアを十分に行い、生活のリズムを整えることが重要である。@起きる、A食べる、B排せつする、C清潔にする、D活動する(アクティビティ)という5つの基本的事項について、その人に合った十分なケアを徹底することである。
例えば、「B排せつする」ことについては、ア.自分で排せつできる、イ.声かけ、見守りがあれば排せつできる、ウ.尿意、便意はあるが、部分的に介助が必要、エ.ほとんど自分で排せつできないといった基本的な状態と、その他の状態のアセスメントを行いつつ、それを基に個人ごとの適切なケアを検討する。
こうした基本的事項について、入所者ひとりひとりの状態に合わせた適切なケアを行うことが重要である。また、これらのケアを行う場合には、一人一人を見守り、接し、触れあう機会を増やし、伝えたくてもうまく伝えられない気持ちやサインを受けとめ、不安や不快、孤独を少しでも緩和していくことが求められるのである。
このように身体拘束の廃止を実現していく取り組みは、介護保険施設等におけるケア全体の向上や生活環境の改善のきっかけとなりうる。「身体拘束廃止」を最終ゴールとせず、身体拘束を廃止していく過程で提起された様々な課題を真摯に受け止め、よりよいケアの実現に取り組んでいくことが期待される。また、身体拘束禁止規定の対象になっていない行為でも、例えば、「言葉による拘束」など虐待的な行為があってはならないことは言うまでもない。
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