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発足と参加の呼びかけ

 厚生省は、介護保険制度の施行にあたり、「身体拘束の禁止」に関する省令(1999年3月31日付)を定め、介護保険施設に「身体的拘束等の原則禁止」を義務付けました。省令は「サービスの提供にあたっては、当該入所者(利用者)又はその他の入所者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体的拘束その他入所者の行動を制限する行為を行ってはならない」としています。

 従来、介護や看護の現場では、「事故や危険の防止」や「問題行動などへの対処」には、身体拘束や抑制はある程度、やむを得ないとされてきました。介護保険が施行され、拘束が法的に禁止された今なお、「抑制のないケアは理想だが、やむを得ない事情もあるのではないか」という介護現場の声を耳にします。

 しかし、私たちは「抑制のない高齢者ケアは可能だ」と考えています。15年前から始まった上川病院(東京都八王子市)の抑制廃止への挑戦は、療養型医療施設を中心にした「抑制廃止福岡宣言」へと受け継がれました。こうした抑制廃止の実践は九州、沖縄、北海道へと着実に全国的な広がりを見せ、確かな実績を生み出しています。

こうした実践例は
  「抑制のない高齢者ケアの推進」を施設の運営方針に掲げる
  「何が抑制なのか」を明確にし、洞察する能力を高める
  「抑制のないサービス提供」のための介護・看護技術を高める
ことによって、抑制廃止が実行可能であることを証明しました。

 これらの実践は、抑制を廃止することにより、抑制から解き放たれた利用者の表情が明るくなり、ADLやQOLが飛躍的に向上する等の効果があることを示しました。また、介護や看護の現場からも、抑制することによって見えてこなかった様々な問題が抑制を外すことによって見え始めてきたし、介護や看護技術の向上につながった、何よりも、要介護高齢者の生活を支えているという「介護従事者としての誇りと喜び」を強く実感できるようになった等々、数多くの報告が寄せられています。

 私たちは、身体的拘束や抑制は、何よりも利用者の尊厳を傷つけ、生きる意欲さえ奪いかねない行為だと考えます。そして、「抑制問題」は「何のための介護・看護なのか」を問い直す重要な課題であると考えています。

 そこで私たちは、抑制を廃止し、抑制のない高齢者ケアを推進するために、介護保険施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設)を対象に「おおさか抑制のない高齢者ケア研究会」を発足させ、当面、以下の取り組みを展開していくことにしました。

  「何が抑制なのか」を介護従事者自らが考え、共通認識を形成する
  抑制のないケアの事例研究を行い、その方法論を確立する
  抑制のないケア実行のためのケアマネージメントとリスクマネージメントの研究
  実践事例の交流と共有
  介護や看護技術を高めるための研修
  抑制問題についての啓発

介護保険施設の中には、抑制を廃止したいと考えているが、
  どうすれば廃止できるのかわからない
  どこまでが抑制か分らない
  抑制の必要なケースもあるのではないのだろうか
  抑制を外した結果、事故が発生する危険はないのだろうか、等々、
様々な戸惑いと悩みを抱えている施設があるかもしれません。

 しかし、私たちは、抑制を廃止することは可能であるし、抑制のないケアを推進することによって、真に利用者本位の介護サービスを提供することが、今、介護保険施設に課せられた責務であると確信しています。何が抑制なのか、抑制のないケアとは何なのか、そして、それはどうすれば実行可能なのか等々、私たちと一緒に考え、新たな一歩を踏み出してみませんか。

 是非とも、本研究会の趣旨に賛同していただき、多くの介護保険施設が「おおさか抑制のない高齢者ケア研究会」に参加されるようお願い申し上げます。

 

呼びかけ人
大谷 強 関西学院大学経済学部教授
中田 智子 大阪府立看護大学医療技術短期大学部教授
河崎 茂 大阪府老人保健施設連絡協議会会長
滝  一郎 大阪府病院協会会長
佐藤 眞杉 大阪府私立病院協会会長
坪山 孝 特別養護老人ホーム るうてるホーム 総合施設長
柴尾 慶次 特別養護老人ホーム フィオーレ南海 施設長
M田 和則 特別養護老人ホーム ナーシングホーム智鳥 施設長
川端 利彦 社会福祉法人大阪府総合福祉協会理事長


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